動物の安楽死、踏み切る基準は? 世界で違う「かわいそう」の感じ方
配信
国内の139の動物園、水族館が加盟する日本動物園水族館協会(JAZA)が、飼育動物の安楽死に関する内容を含む「動物福祉基準」の策定を進めている。処置に踏み切る基準や方法について検討し、2023年末までにまとめる。 【写真】ウサギ15匹を安楽死 「ひどい」批判殺到の動物園と獣医が思うこと 同協会の成島悦雄・専務理事によると、JAZAが加盟する世界動物園水族館協会(WAZA)が16年、動物福祉に関する会議を開いたのをきっかけに、加盟団体に基準の作成を求めた。内容は飼育施設や、管理方法に関する「最善の在り方について」で、安楽死もその中に含まれる。 JAZAでは現在、終生飼育が原則。安楽死が必要だと決断した場合は、速やかに苦しまずに死を迎えられる方法で行うとする規定を持っている。今回定める基準では、この方針に沿って、具体的に安楽死を決断するべき状況や、取るべき方法などを議論。加盟施設への説明や意見交換を行いつつ、検討を進めている。 WAZAはすでに、03年に定めた倫理規定で、手を尽くしてもその動物が適切な生活の質を保って生きることができない場合には、できるだけ苦痛を与えない方法で実施するという方針を示している。 ただ、動物福祉に関する法律や、命をめぐる社会の受け止めは国によって変わりうる。 成島さんによると、欧米では動物がけがや病気などで痛みや苦しみを感じながら生きることは生活の質が落ち「かわいそう」として安楽死を選ぶことが多い。一方、日本では、回復の可能性が低くても、何とか命を助けられないかと延命を選ぶ傾向があるという。こうした違いは、基準にもある程度反映される見込みだ。 成島さんは「動物は言葉で訴えず、自殺もしない。殺すかどうかは、結局、人がどう考えるかが大きなウェートを占める。どちらがいいとか悪いとかではなく、解決のつかない問題だが、考えていかなければならない」と話した。(杉浦奈実)
朝日新聞社
https://news.yahoo.co.jp/articles/a50cd8757d163b07f3dd80ae5550f80804548ab9
0 件のコメント:
コメントを投稿